南北朝編年史・上下/由良哲次/南北朝時代の史実を明からにすることを目的とし足利北条両氏の興起の時代より現代に至るまでの主要事件を収録

商品説明
南北朝編年史・上下/由良哲次/南北朝時代の史実を明からにすることを目的とし足利北条両氏の興起の時代より現代に至るまでの主要事件を収録

昭和54年 1472P。 部数は少なそうです。資料用にもいかがでしょうか。

私の生家に、父祖手沢の太平記の版本と南朝編年記略の写本とが伝わっていた。私は小学校の頃から、この太 平記を解らずながら細いた。その中には、新田義貞の北陸下向の途、雪中に奮戦する由良守光の記事や、武蔵国 矢口渡にて新田義興に従っていた由良信阿が、敵の詭計にあって沈みゆく船中で主従自刃する文章などもあって 感激深く読みふけり、いつとはなく南北朝時代に離れえぬ関心を抱くようになった。中学の頃、漸く漢文が読め るようになって、私は南朝編年記略を年月順にカードに書き分け、生国大和や近国の、ここに誌す史実や遺蹟に ついて探索することを始めた。このカードや研究ノートは、年とともに漸次重なって行った。かようにして南北 朝時代に対する私の関心は、これ等の端緒の頃から数えるなら、断続しながら約五十年にもなろうとする。私は 今になって、むしろ集中的に国史学に専心しえなかったことに悔いを感ずるのであるが、在独四年の研究をはじ め、それ以後の学的作業は多く精神史と哲学とに志向し、いきおい、この南北朝研究は私にとって興味本位の余 業に過ぎない結果となった。

一この編年史は、南北朝時代のあらゆる史実を明かにすることを主要な目的とし、またこれに関連する限り、足利・北条両氏の興起の時代より現代に至るまでの、主要な事件と南北朝に関係ある事項を収録した。
二 ここに収録された史実およそ三万六千項は、年次、月次、日次に排列されている。名は編年史であるが内実は日録の態を
す。
三 この編年史の資料は、古文書・官撰私撰の史書をはじめ、博く地方志・私史・私記・手録・管見・書翰・系図・遺蹟刻文及び遺文その他より採ったが、無稽と思われるものは除いた。従って異説の存する場合は時に重複して掲出した。出典はで きるだけ明示した。
[四 同日・同月・同年に幾つかの事項がある場合は、大体南朝・北朝・皇族・幕府・社会・文化・外国等の順序としたが、関連事項はできるだけ併記した。同一事件にして、その生起月日の異って伝えられる事項は、できるだけ整理したが、なお異 月日にて重掲したものもある。月のみ明かであって日の不明確なもの、年のみ伝えられて月日の明かでないものは、それぞ れ、その月、その年の末に集約して録した。
五この編年史本文は、年月日順に編記して、時代又は時期区画を行わなかった。南北朝時代をいかに限定し、その内包の時 期区画をいかにするかについて、又おのずからこれに関連して南北朝の時代性格や、この編年史の意味理解に必要な若干問 題については、下巻「南北朝編年史後論」に叙したが、なお姉妹篇『南北朝思想史』に詳論を委した。 べ貢献の柱に、検索の便宜のため、南北朝天皇、年号年数、及び西紀年数 (各頁上下段の頭初を標準として)を附記した。


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（2022年 5月 17日 9時 43分 追加）
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